BENIGN
1. プログラム名
BENIGN
2. 開発責任者
松田 秀雄(大阪大学大学院情報科学研究科)
3. 主な開発者
松田 秀雄(大阪大学大学院情報科学研究科)
4. 内容
概要
遺伝子ネットワーク解析の並列実行のためのプログラムであり、種々の条件下での遺伝子の発現データから、各条件下での遺伝子間の発現の依存関係を表すネットワークをベイジアンネットワークにより推定し、相互の比較を可能にします。
詳細
BENIGNは、複数の生体組織や実験条件下で採取された細胞内の遺伝子の発現データから、各条件下での遺伝子間の発現の依存関係を表すネットワークをベイジアンネットワークにより推定するソフトウェアである。マイクロアレイやRNA-Seqにより、多数の遺伝子の発現データが網羅的に計測できるようになり、条件ごとに得られたネットワークを相互に比較することで、例えば、時間とともに動的に変化する遺伝子間の依存関係や、細胞組織ごとの遺伝子の働きの違いなどを推定して可視化することができる。
5. どんなことができるか
- 細胞の分化過程での時系列遺伝子発現データから、細胞分化の時期ごとの遺伝子ネットワークを相互に比較・解析することができる。
- 生体組織ごとの細胞の遺伝子発現データから、各組織で働く遺伝子ネットワークを相互に比較・解析することができる
6. 関係論文
[1] Tomoyoshi Nakayama, Hiromi Daiyasu, Shigeto Seno, Yoichi Takenaka, Hideo Matsuda (2013) Reconstruction of dynamic gene regulatory networks for cell differentiation by separation of time-course data, 2013 International Conference on Bioinformatics and Computational Biology (BIOCOMP’13), BIC7296
[2] Ryo Araki, Shigeto Seno, Yoichi Takenaka, Hideo Matsuda (2013) An estimation method for a cellular-state-specific gene regulatory network along tree-structured gene expression profiles, Gene, 518:17-25, doi: 10.1016/j.gene.2012.11.090
7. チュートリアル資料など
「SCLS計算機システム BENIGN実習 」参照
8. 関連する教科書
なし
9. マニュアル
「BENIGN利用マニュアル」参照
10. 処理の手順
ここでは、手順の概要を記述する。処理の詳細についてはチュートリアル資料およびマニュアルを参照されたい。
BENIGNを実行するには、benignコマンドと入力ファイルとしてEDF (Expression Data Format)形式の遺伝子発現データファイルとジョブリストファイルが必要となる。
ジョブリストファイルには、遺伝子ネットワークを推定する操作を1行に1操作ずつ書くようになっており、各行がそれぞれジョブ(実行の単位)としてMPIで並列に実行される。ジョブごとに、遺伝発現データファイル名、ベイジアンネットワークモデルとダイナミックベイジアンネットワークモデルの選択、ブートストラップサンプリングの回数などを個別に指定できる。これにより、異なる遺伝子発現データからの遺伝子ネットワークの推定を並列に実行できる。
各行に書かれた遺伝子ネットワーク推定処理も、ブートストラップサンプリングごとにMPIで並列に実行される。さらに遺伝子ネットワークの推定の計算はOpenMPによるマルチスレッドで並列実行される。
11. ソフトウェアのダウンロード
スーパーコンピュータ「京」およびその互換機で実行可能なバイナリ―ファイルは、ここからダウンロードできる。
12. 著作権
BENIGNはオープンソース・ソフトウェアではなく、ダウンロードしたバイナリーファイルの再配布はできない。
13. ソフトウェアの詳細
BENIGNの開発では、遺伝子ネットワークの推定部分はSiGN-BNをベースにしている。また、複数の遺伝子ネットワーク推定プロセスの並列実行機能の実現にはMPIDP(GHOST-MPのパッケージに含まれている)をベースにしている。