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CafeMol

1. プログラム名

CafeMol[1]

2. 開発責任者

高田 彰二(京都大学理学研究科教授)

3. 主な開発者

検崎 博生(理化学研究所 情報基盤センター)

4. 内容

概要

粗視化分子モデル計算により大規模生体分子(タンパク質、核酸、脂質)の長時間シミュレーションを行う。ただし脂質はまだ開発途中であり未公開である。

詳細

全原子分子動力学計算がシミュレートできる時間は、良くてミリ秒、通常はマイクロ秒である。一方で、重要な生物学的現象はミリ秒から秒以上の時間スケールで進行しており、全原子分子動力学計算の時間スケールとは大きなギャップがある。この時間スケールの大きなギャップを埋めるために、さまざまな粗視化分子モデル計算が開発されてきている[2]。

CafeMolは、タンパク質についてはアミノ酸1個をCαに中心を置くひとつのビーズで表し、核酸についてはヌクレオチド1個を3つのビーズ(塩基、糖、リン酸に各1個)で表す粗視化モデルを採用している。ポテンシャルエネルギーは、郷モデルという「整合性原理」を発展させた「フラストレーション最小の原理」に基づいている。フラストレーション最小の原理に従うと、タンパク質のエネルギー地形は漏斗状になっており、天然構造は最小エネルギーをもち、漏斗の底に位置している。天然構造が構造Γ0であるタンパク質が、構造Γをとるときのポテンシャル・エネルギーVは、

zusiki

となる。ここで、添字0がつくものはパラメータであり対応する変数の天然構造における値となる。詳細は文献[3]を参照されたい。これに必要に応じて、疎水性相互作用や静電相互作用を加えることができる。核酸のモデルも同様に、最安定構造の構造パラメータに基づいた郷的なポテンシャルと静電相互作用などの物理化学的ポテンシャルの和であらわされる。

CafeMolの大きな特徴として、タンパク質の動的な機能シミュレーションがある。例えば、リガンドが結合する前後のタンパク質のエネルギー地形は、リガンドとの複合体形成により異なる。その異なったエネルギー地形を陽に取り入れる、すなわち単一の漏斗状エネルギ地形を複数の漏斗状エネルギ地形に拡張することにより、CafeMolは構造シミュレーションだけでなく動的な機能シミュレーションをも可能としている[1]。

5. どんなことができるか

  • X線回折やNMRによる構造情報が存在するタンパク質、核酸などの動態の分子動力学シミュレーション。とくに構造変化を伴うタンパク質ドッキング、分子モーターやトランスポーターの大規模構造変化などをシミュレーションできる。
  • 例として、キネシンの動態、多剤排出トランスポーターの動態、DNAヒストン複合系(ヌクレオソーム)など。

6. 関係論文

[1] Kenzaki H, Koga N, Hori N, Kanada R, Li WF, Okazaki K., Yao XQ., Takada S. (2011) CafeMol: A Coarse-Grained Biomolecular Simulator for Simulating Proteins at Work, J. Chem.Theor. Comp., 7, 1979-1989. [Publisher]

[2] Takada S(2012) Coarse-grained molecular simulations of large biomolecules, Current Opinion in Structural Biology, 22, 130-137 [Pubmed]

[3] Li W., Terakawa T., Wang W., Takada S., (2012) Energy landscape and multiroute folding of topologically complex proteins adenylate kinase and 2ouf-knot, Proc. Nat. Acad. Sci., 109: 17789-17794. [Pubmed]

7. チュートリアル資料

A coarse-grained simulator: CafeMol

8. 1 関連する教科書

 

9. マニュアル

利用者マニュアルを参照ください。

10. 処理の手順

CafeMolでは多様な処理が可能であり、それぞれに応じて用意する入力ファイルや処理内容、出力ファイルは異なります。入力ファイルを含めたそれら処理の手順はマニュアルに詳細に記載されており、利用者マニュアルを参照ください。

11. ソフトウェアのダウンロード

ソフトウェアは下記URLからダウンロードできます。

http://www.cafemol.org/download.php

(1)スーパーコンピュータ「京」での実行

スーパーコンピュータ「京」での実行環境も整えています。利用ご希望の方は、高田彰二(京都大学理学研究科教授)scls-mado までご連絡ください。

(2)SCLS計算機システムで実行するソフトウェア

SCLS計算機システムでの実行環境も整えています。利用ご希望の方は、SCLS計算機システムscls-mado までご連絡ください。

12. 著作権

CafeMol is the non-commercial software that the user can use, modify, and improve the CafeMol source code at ones own expense. The source code of CafeMol is available for the internal use only at this moment: The user shall not distribute or transfer CafeMol, and any modifications, improvements, or derivatives to CafeMol that the user may create.

CafeMol is a research tool still in the development stage, that is being supplied “AS IS” without any accompanying services or improvements from developers and the program is distributed to enable users to utilize CafeMol in their researches. Developers accept no obligation to provide maintenance nor does it guarantee expected functionality of CafeMol or of any part of CafeMol.

以上は2014年1月24日のCafeMolホームページ情報に基づいています。最新情報はCafeMolホームページをご覧ください。

13. ソフトウェアの概要

(1)計算モデル化の方法

粗視化された分子モデルによる古典分子動力学法

(2)計算方法

ニュートン型およびランジェバン型の分子動力学法を用意し、系の時間発展を数値的に求めることができる。

(3)並列化の方法

Neighbor list方式、レプリカ交換法

(4)開発言語等

Fortran90, MPI, OpenMP

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