μ2lib
1. プログラム名
μ2lib(マルチコピー・マルチスケール分子シミュレーション法開発の基盤となるクラスライブラリ)
2. 開発責任者
木寺 詔紀(横浜市立大学・理化学研究所)
3. 主な開発者
寺田 透(東京大学)
森次 圭(横浜市立大学・理化学研究所)
松永 康佑(理化学研究所)
4. 内容
タンパク質や核酸、薬剤など生体分子を計算対象とする。反応の時間スケールが遅い(ミリ秒~秒)ために、通常の分子動力学法では追跡が困難な、生体分子同士の相互作用やこれに伴う立体構造変化過程を、統計力学に基づいた、マルチコピー・マルチスケール分子シミュレーション法を用いて再現する。
5. どんなことができるか
- 薬剤などの生理活性物質がタンパク質など生体高分子に結合する過程を再現できるようになる。
- 薬剤の結合やタンパク質同士の結合に伴う立体構造変化を予測できるようになる。
- 結合過程や立体構造変化過程の解析から、活性の高い物質の創出やタンパク質の機能改変につながる手掛かりが得られる。
6. 関係論文
[1] Kei Moritsugu, Tohru Terada, and Akinori Kidera, “Scalable free energy calculation of proteins via multiscale essential sampling” Journal of Chemical Physics, 133, 224105 (2010). [Pubmed]
[2] Kei Moritsugu, Tohru Terada, Akinori Kidera, “Disorder-to-Order Transition of an Intrinsically Disordered Region of Sortase Revealed by Multiscale Enhanced Sampling” Journal of the American Chemical Society, 134, 7094–7101(2012). [Pubmed]
7. チュートリアル資料
μ2libのホームページを参照してください。
8. マニュアル
μ2libのホームページを参照してください。
9. ソフトウェアのダウンロード
μ2libのホームページからダウンロードしてください。
10. 著作権
GNU GeneralPublicLicense version 3
11. ソフトウェアの詳細
(1)離散化(計算モデル化)の方法
マルチコピー・マルチスケール連成分子動力学法
(2)計算方法
レプリカ交換法、MSES法、ストリング法、粒子フィルタ
(3)並列化の方法
コピー間並列(MPI並列)、ループ分割(MPI、OpenMP)
(4)開発言語とライブラリ
C++(一部入出力のみFortran 90)
(5)使用ライブラリ
LAPACK(またはIntel Math Kernel Library、Fujitsu SSL II)、FFTW(またはIntel Math Kernel Library、Fujitsu SSL II)、NetCDF、HDF5(オプション)
(6)スーパーコンピュータ「京」での最大計算規模
多剤排出トランスポーター(AcrB)
- 1億8千万原子系(47万原子系×384コピー)
- 196,608コア(512コア/コピー)使用
- メモリ使用量:27,636GiB