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合同シンポジウム「世界最速スーパーコンピュータ「京」と生命科学」を開催しました!

news02_12011年10月6日(木)13時から、九州大学大学院システム生命科学府と共同で、合同シンポジウム『世界最速スーパーコンピュータ「京」と生命科学』を開催しました。

HPCI戦略プログラムに参画している研究者や、九州・沖縄地区の生命科学者が、「京」の生命科学への展開をテーマに講演しました。参加者は約70名にのぼり、当日参加者も多くみられました。学生や教授などの大学関係者のみならず、公的研究機関や、メーカー企業にまで幅広い分野に及びました。

【講演】

news02_taiji高度化推進グループ 泰地グループリーダーによる「超並列計算機「京」の設計思想と生命科学への展開」の講演が始まりました。
京の概要説明では、この6月に世界最高性能8.162ペタフロップスを達成し、TOP500リストで世界一になったことや、効率よく安定して動作させるため、高性能に特化し、消費電力を抑え、さらに高い信頼性、持続性を実現していることなどがあげられました。特に信頼性に関しては、6月時点で68,544ノード用い約28時間故障することなく世界最高速の速さで計算を行いました。これは1ノードあたりの故障率が219年に一度故障するか否かといった数値で、PCクラスタでは不可能な規模のシステムとのことです。
生命科学への活用に向けては、大量シミュレーションからの情報抽出や、ゲノム解析などでの大量のデータの扱いにおいて、Capacity Computing(容量)とCapability computing(性能)の拡充が今後の重要な課題であると説明されました。

news02_iyokai続いて、九州大学大学院システム情報科学研究院 伊良皆 啓治 教授の「脳情報科学におけるコンピュータの役割」の講演に移りました。
脳情報学は、脳の機能的情報である脳機能を対象としており、脳、神経ネットワーク、神経細胞、シナプス、神経伝達物質といった複数の階層性を理解しなくてはなりません。 Neuroinformaticsの研究で得たバラバラで膨大なデータを総合的に分析・解析する、脳神経科学と情報科学技術を統合した新しい統合分野が出てきました。定量的に調べるためには、膨大な計算量が処理できるコンピュータが必須になってきたのです。現在は不可能だが、京では可能になるかもしれません。と期待を述べられました。

news02_uchida九州大学大学院システム情報科学研究院 内田 誠一教授からは「バイオイメージインフォマティクスと大規模計算」について講演がありました。
細胞内物質/小器官の広がりや動きの定量化においての課題や困難性、そして大量計算への今後の期待を述べられました。画像処理と認識技術は計算技術とともに進んできました。基本的に大量の計算を要しているイメージ技術は、画素並列やサンプル並列といった並列計算と相性が良く、精巧度をあげるためにも大規模計算の可能なスーパーコンピュータの活用が必要であると熱く語られました。

news02_takagi「予測医療に向けた階層統合シミュレーション」では、東京大学大学院 工学系研究科 高木 周教授が、現時点におけるシミュレーターの開発状況と今後の開発予定について講演をされました。
そこでは頭蓋骨から脳内へと伝わっていく超音波のシミュレーション方法の臨床応用へ向けた研究成果、さらには、脳神経系や筋骨格系、血管内血流系、心臓等循環器系のシミュレーションを統合したマルチスケール・マルチフィジックス統合シミュレーションへ向けた研究成果が報告されました。
最後に、一人一人が健康で活き活きとした社会を送ることが出来るように、疾患の早期発見、早期治療につながる病態の早期予測と予後評価を目指していると述べられました。

news02_okamoto最後は、九州大学大学院農学研究院 岡本 正宏教授の「生命科学におけるマルチスケール・マルチフィジクス解析の展望」の講演で締めくくりました。
生命科学におけるマルチスケール・マルチフィジクス解析の技術的問題点、および、解析を行うための大容量の共有メモリを搭載した並列計算機システムの設計について講演されました。

【総合討論】「バイオ分野で京を使うために」

パネリスト:
荒木令江(熊本大学)、皿井明倫(九州工業大学)、大川恭行(九州大学)、久原哲(九州大学)、 江口至洋、泰地真弘人、伊良皆啓治、内田誠一、髙木周、岡本正宏

news02_kaigi01本当に京を活用することが出来るのかなどについて議論されました。
「世界一を目指す」と掲げ、ある研究開発に向けてさまざまな分野の研究者が一堂に集い、計算科学技術の飛躍的な発展をめざし前進するという行為が重要であり、ペタの意義であるといった意見に多くの方が賛同していました。またWet研究者が、大量のデータ処理や解析をするために、用途に応じたソフトウェア開発の必要性が高まるなか、研究者と開発者を繋ぐパイプ役が不可欠になってきている現状についても提議されました。

計算生命科学における京やHPCI環境を利用した研究の報告の場、そして情報交換、情報発信の場として、今後も同様なシンポジウムを行っていきたいと思います。

 

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