BioSupercomputing Newsletter Vol.9

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 HPCI戦略プログラム 分野1(SCLS)は、医療および創薬を含む生命科学分野において、HPCIを活用した画期的成果の創出を推進するとともに、研究支援や人材育成等を通して、広く計算生命科学のユーザコミュニティの形成を目的としています。 その目的達成をめざし、広く生命科学研究者・技術者がHPCIを積極的に活用していくことを支援する一環として、スーパーコンピュータ「京」との互換性の高いSCLS計算機システムを利用する研究課題の公募を行っています。次回の公募は9月を予定しています。詳しくは、SCLS計算機システム利用公募情報(http://www.kobe.riken.jp/stpr1-life/outreach/sclsuse/application.html)をご覧ください。

SCLS課題番号

氏名

代表者所属

課題タイトル

201301101

百武 徹

横浜国立大学
大学院工学研究院

テーラーメイド型人工赤血球の酸素運搬効果の予測評価に関する解析技術の確立

201301102

滝沢 研二

早稲田大学
高等研究所

Development of Computer Modeling Techniquesfor Patient-Specific Cardiovascular FSI

201301103

水口 賢司

医薬基盤研究所

蛋白質複合体の相互作用予測に基づく薬剤候補分子のスクリーニング手法の構築

201301104

志水 隆一

NPO法人
バイオグリッドセンター関西

並列計算機を用いた創薬関連ソフトウェアの利用と創薬現場での利用可能性の検討

201301105

安尾 和也

塩野義製薬株式会社

量子化学を取り入れた結合親和性予測能の改善

201301106

フィン クァン フイ ヴィェト

岡山大学
大学院環境生命科学研究科

血流の数値シミュレーションにおける非圧縮性ナビエストークス方程式の並列解法と評価

201301107

陶山 明

東京大学
大学院総合文化研究科

一本鎖核酸の塩基スタッキングの安定性

201301108

林 拓也

理化学研究所
ライフサイエンス技術基盤研究センター

高速並列演算による非侵襲的脳画像の機能的脳内ネットワーク解明

BioSupercomputing Newsletter Vol.9

海津特別研究員

1分子粒度シミュレーションの並列計算手法を紹介する海津特別研究員
※本紙Zoom in(P.4)で紹介している岩本一成特別研究員と同じ研究チームに所属

松田教授

脂肪細胞の褐色化を制御する生体分子ネットワークの解析結果を報告する松田教授

 SCLSでは、生命科学のコミュニティに対し、「京」を中核としたHPCI 環境での計算生命科学の理解促進および人的ネットワーク形成を進めるため、全国を大きく6ブロックにわけ、各ブロックの拠点大学や関連学会と連携しシンポジウムの開催を実施しています。
 6月1日(金)に岡山大学と共催で、『生命科学に取り組む異分野の融合と交流の推進:スーパーコンピュータ「京」と生命科学』を開催しました。
 今年で 2回目となるこのシンポジウムは、計算生命科学を軸に異分野の研究者、技術者が意見交換でき、新しい研究分野および共同研究の創出ができる場を作ること、また生命科学と計算科学を結びつける分野での HPCI利用について、その方法や内容を考えることを目的にして、計算科学と生命科学の境界領域で研究に取り組んでおられる12名の研究者にご講演いただきました。
 課題1「細胞内分子ダイナミクスのシミュレーション」からは海津一成特別研究員(理化学研究所)が細胞環境を考慮したシグナル伝達経路の 1分子粒度シミュレーションについて、そして課題4「大規模生命データ解析」からは松田秀雄教授(大阪大学)が「京」を使って得た生体分子ネットワークの解析結果を報告しました。  参加者は 100名を超え、学生や教員などの大学関係者だけでなく公的研究機関や企業にまで幅広い分野に及びました。
 計算生命科学における「京」やHPCI環境を利用した研究報告の場、そして情報交換や情報発信の場として、今後も同様なシンポジウムを行っていきたいと思います。