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課題3 予測医療に向けた階層統合シミュレーション

課題3

予測医療に向けた階層統合シミュレーション

―循環器系および筋骨格系・神経系の階層統合シミュレーション―
杉田 有治

代表

高木 周
東京大学大学院工学系研究科

マルチスケール・マルチフィジックス心臓シミュレータ UT-Heart
SIGGRAPH 2015 Computer Animation Festival 受賞作品
Category: BEST VISUALIZATION OR SIMULATION

 

動脈硬化巣への血小板粘着のシミュレーション
分子レベルからの心臓シミュレーション

概要

これまで別々に研究されてきた循環器系、筋・骨格系、脳・神経系のシミュレーションを統合し、心臓疾患や運動機能障害などの複雑な発症過程を解明し、最適な個別化医療を支援します。

今 までも人の体を構成する脳・神経や筋肉・骨、心臓、血管といった個々の要素を、計算機を用いて研究する例はありました。スーパーコンピュータ「京」では、 それらをばらばらではなく、まとめて研究することが出来るようになってきました。わたしたちは、医療従事者と共同して新しいタイプの医学を作りあげようと しています。この研究の成果によって、治療法の詳細な検討や治療後の状態の正確な予測を行うことを目指しています。

【上動画】心臓は、栄養 素や酸素を含んだ血液を全身に循環させるポンプです。心臓シミュレータでは、分子の振る舞いを計算し心筋を収縮弛緩させて、筋肉の運動が生み出す血液の流 れや血圧を計算しています。物理的、生理的に本物の心臓と同じ動きをする人間の心臓をコンピュータ上に再現することで、心疾患の治療法や治療後の状態を正 確に予測することができます。さらに心臓の外科手術をコンピュータの中で仮想的に行いシミュレータによって手術の効果を評価して、最適な手術法を検討しよ うとする取り組みが医師との協業で既に進められています。

【下左動画】さらさら流れていた血液が、病気により固まりはじめ、血管が詰まるま での過程を分子や細胞のレベルから解き明かします。(動脈硬化巣への血小板粘着から血栓が成長し、心筋梗塞に至るまでの過程を、タンパク質分子レベルのモ デルから、血球細胞さらには血液凝固のプロセスまで含めて再現することを目指しています)

【下右動画】心筋細胞のレベルから心臓の機能をありのままに再現する心臓シミュレーションを行ない、ミクロレベルの異常と心臓の病気の関係を解き明かします。

5年間の取り組みと成果 BioSupercomputing Newsletter Vol.14より

論文

1. Jan Moren, Tomohiro Shibata, Kenji Doya:
The mechanism of saccade motor pattern generation investigated by a large-scale spiking neuron model of the superior colliculus
PLOS One, Vol. 8,  e57134 (2013)

2. Takumi Washio, Jun-ichi Okada, Akihito Takahashi, Kazunori Yoneda, Yoshimasa Kadooka, Seiryo Sugiura, Toshiaki Hisada:
Multiscale Heart Simulation with Cooperative Stochastic Cross-Bridge Dynamics and Cellular Structures
SIAM Multiscale Modeling & Simulation 11-4 (2013), pp. 965-999

3. Seo K, Inagaki M, Hidaka I, Fukano H, Sugimachi M, Hisada T, Nishimura S, Sugiura S:
Relevance of cardiomyocyte mechano-electric coupling to stretch-induced arrhythmias: optical voltage/calcium measurement in mechanically stimulated cells, tissues and organs
Progress in Biophysics and Molecular Biology, 115(2–3), pp. 129–139 (2014)

4. Susanne Kunkel, Maximilian Schmidt, Jochen M. Eppler, HansE.Plesser, Gen Masumoto, Jun Igarashi, Shin Ishii, Tomoki Fukai, Abigail Morrison, Markus Diesmann, and Moritz Helias:
Spiking network simulation code for petascale computers.
Frontiers in Neuroinfomatics, Volume 8 (2014)

5. Naoto YAMAMURA, Jose Luis ALVES, Toshiaki ODA, Ryuta KINUGASA, Shu TAKAGI:
Effect of tendon stiffness on the generated force at the Achilles tendon – 3D finite element simulation of a human triceps surae muscle during isometric contraction
Journal of Biomechanical Science and Engineering, Vol.9, No.3 (2014), p.13-00294.

体制図



  ※2015年4月1日現在

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